マイベストツール

「ツールはとりあえず使って判断。そして必要最低限に。」小高明(援軍/元Google)のマーケツール

デジタルマーケティングの最前線で戦う実務者が日々どのようなツールを使いこなしているのか?実務者のツールの活用の現場に迫ります。記念すべき第1回は、2018年にGoogle出身者によって設立されたデジタルマーケティングのコンサルティングを提供する株式会社援軍の代表 小高 明さんにお話を伺います。

小高さんは本記事インタビュアーのポールのGoogle時代の同僚です。間違いなく日本トップクラスの広告運用実務者であり、小高さんがどのように運用しているのかは大変参考になる内容です。

プロフィール

小高 明 / Akira Kodaka

  • 2004〜2010年:ホームページ制作受託、アフィリエイトサイト運営
  • 2010〜2018:Googleで広告運用コンサルティング
  • 2018〜:株式会社援軍創業

Google からの業務委託中の広告運用実務のパフォーマンスの圧倒的高さを買われて入社するという特異な経歴を持っており、Google内で世界パフォーマンスNo.1などの数々の実績を残しています。

デジタルマーケティングへの関わり方

これまで扱った商材や予算規模

業界を絞ることなく幅広い業界で運用及び運用支援をしてきました。特にでいうと、通信・EC・トラベル・美容は多かったです。予算規模は、数万円〜数千万円/月と幅広く、一般的にはしっかり運用されないような数万〜数十万円/月の広告予算の規模でもかなりの数をサポートした経験があります。

現在は、特に予算規模として代理店の支援範囲外になりがちな少額のクライアントのご支援をできるように尽力しています。

担当しているチャネル、媒体

運用実務まで行っているのはデジタル広告のみですが、ディレクションという形で外部のパートナーを活用してSEO・LPO・アフィリエイトなど集客全般のディレクションまでしています。広告媒体としては、GoogleとYahooとFacebookの3つがメインです。

実務的な立ち位置

もともとアフィリエイターをやっていました。その後、広告プラットフォーム(Google)で広告代理店向けのコンサルや大手広告主向けのコンサルを経て、現在はデジタルマーケティングのコンサル及び広告代理店として現場に立っています。

ツールの利用状況

利用している or したことのあるツールの種類

  • タグマネージャー
  • アクセス解析
  • 広告効果計測
  • データ分析、レポート
  • ヒートマップ
  • ABテスト
  • マーケティングオートメーション(MA)
  • データマネジメントプラットフォーム(DMP)
  • 自動入札ツール

タグマネージャー

タグを一元管理 from Google Tag Manager

GTM(Google タグマネージャー) が良い ですね。稀にYTM(Yahoo!タグマネージャー)を使っていますが、それは GTM でどうしてもうまくコンバージョンタグが発火しないことがあったためでかなりの例外です。Google の方が慣れていますし、一般的なので基本的に GTM で良いと思います。

アクセス解析ツール

ウェブサイトのアクセス状況を解析 from Google Analytics

Google Analytics が良いです。無料でも利用できて高性能なのでこれだけで十分です。実際のマーケティングの現場では特に広告の成果把握に使っています。広告を複数媒体使っているときに、広告媒体ごとの重複CVを確認したり、アトリビューションモデル別の分析に GA は多用します。通常の広告運用においては、広告媒体のデータだけではなく、サイト内での行動も最低月に1回程度、必要に応じて都度確認すべきですね。

広告効果計測ツール

広告効果を統合管理 from アドエビス

広告効果計測専用のツールは基本使わないようにしています。アドエビスが有名ですが、Google Analytics で機能はカバーされているため使う必要が原則ありません。

ただ、既にクライアントが長くアドエビスを利用して成果把握をしているなどの状況があり、変更できない場合は継続して利用します。今は既存クライアントの内の2割くらいがここに該当します。それでも Google Analytics での運用へ変更するように通常は交渉しています。何故そこまでするかと言うと、有料の効果計測ツールには2つデメリットがあるためです。

  1. 決して安くはないコスト
  2. 導入時及び運用時の設定工数

毎月一定の予算の中で成果にコミットするには当然直接成果には繋がらないツールへの投資は相当シビアに考えるべきです。そのため、有料ツールである必要性が低い場合は、そこにお金を掛けずに直接成果に繋がる広告費に割り当てるべきです。

また、アドエビスなどを入れるほとんどの場合、Google Analytics と併用されます。アドエビスだけでも設定工数が掛かるのに、結局アドエビスとGA で二重の設定となるとさらに余分な設定工数が発生します。

結果として本来掛けられるリソース100%の内の数%、計測設計が複雑な場合などは最大20%くらいのリソースをこの計測設定の維持に割り振る必要が出てきます。この工数をクライアントが負担しようが、代理店が負担しようがリソースが割かれる事実は変わらないので、できればそのリソースは別のもっとクリエイティブなことに使うなどしたほうが良いというのが私の考えです。

もちろん、画面として Google Analytics よりも見やすいとか、独自のユーザー属性が見れるなどのメリットがありますが、そこまで重用ではないと思っています。

レポーティング/分析ツール

データを可視化 from Google データポータル

Google データポータル(旧Google データスタジオ)が良いです。個人的にはあまり詳しくないですが、無料で十分な機能があるので、必要な場合は得意なメンバーに頼んで作ってもらっています。

ヒートマップツール

ページ内行動を可視化 from Ptengine

有料のツールが多いので、導入したときに費用対効果として十分ペイする案件、シンプルに言うとトラフィックが多いサイトでケースバイケースで使っています。具体的なツール名としては、 Ptengine は UIが使いやすくて一番おすすめです。直近導入しているクライアントでは全て良い成果が出ていて、施策開始からコンバージョン率が1ヶ月以内で上がるケースが100%です。

また、ヒートマップは入れたら終わりではなく、コンバージョン率改善を正確に検証しないと意味がありませんので、ABテストツールの Google optimize と同時に導入して検証をしっかりしています。

弊社の場合は、このようなサイト改善系のツールを導入提案する場合は、クライアントではなく弊社で料金を100%負担する形が多いので成果を出すのには当然必死です。

ABテストツール

CVR改善のためのABテスト from Google optimize

Google optimize(オプティマイズ) が良いですね。前述のようにヒートマップとセットだったりサイト改善の必要性が高いと考えられる場合に利用しています。

マーケティングオートメーション(MA)

クライアント主導で利用されているケースはありますが、弊社が直接絡んでいるケースはほとんどありません。実際にユーザーとしてMAが導入されているようなサイトを使っていてもマーケティングオートメーションの機能で良いユーザー体験が提供されているとは思えないケースがほとんどですし、成果が出ているという事例も聞いたことがありません。サービス事業者のサイトやメディアでの成功事例は良く見ますが、お手盛りの記事ばかりなのが実態なので割り引いて見るべきです。

DMP

かなりの大手企業向けなので、弊社クライアントになるような企業では必要ないケースがほとんどです。通常ですと、料金が高くて費用対効果として極めて悪いです。中小規模の事業者ですと利用しているところもほとんどないはずです。

自動入札ツール

GoogleやYahooを外部から入札調整する横断ツール(Marine検索広告360 旧DoubleClick Search、kenshoo)ですが、いらないです。現実的に、GoogleやYahooやFacebookが内部的に持っているデータの方が量も質も圧倒的なので、成果が単純に出やすいのです。そもそも、広告代理店か超大手広告主くらいしか自動入札ツールは使わないと思いますが、ほとんどのケースは不要です。

実務者としてのツールとの向き合い方

人それぞれで使いやすいツールは違うので、とりあえず使って見るのが良いと思います。いろいろ考えてアクション取れないよりもまずは使ってみるというのが大事です。初動が遅いのが最悪です。その上で、ツールはあくまでツールなので頼りすぎずに最小限に留めるのが良いのではないでしょうか。

国内最大のモバイルゲーム運営企業「マイネット」に、2008年にモバイルCRMサービスの立ち上げに参画、SEOやカスタマーサクセスを中心にマーケティングを統括(後にYahoo JAPANへ事業売却)。その後、新規事業責任者として、2012年にモバイルゲーム事業を立ち上げ事業成長を牽引。2014年にGoogleで広告代理店営業マネージャー、Google自社サービスの日本におけるSEO担当、通信テクノロジー業界シニアアカウントマネージャーを経て、2018年GLASS設立。